博(ひろし)、55歳。埼玉県在住の会社員。築25年の一戸建てに妻(53歳)と二人暮らし。子どもは2人とも独立済み。住宅ローンはあと10年残っている。最近、2階の天井にうっすらと茶色いシミができているのに気づいた。最初は気のせいだと思っていたが、先日の大雨の後、寝室の天井から水が落ちてきた。「雨漏りだ」と気づいたとき、どこに頼めばいいのか、いくらかかるのか、まったく見当もつかず、途方に暮れている。定年まであと5年、これから長く住むつもりの家。ちゃんと直したい。
ぽつり、と水が落ちた。
台風が近づいている夜、あなたは寝室で本を読んでいた。突然、頬に冷たいものが当たった。最初は何が起きたかわからなかった。
天井を見上げた。
電気の明かりに照らされた天井のクロスが、一部だけ暗く変色していた。そして、その中心から、ぽつり、ぽつりと、水滴が落ちていた。
「雨漏りだ」
口に出してみて、初めてその言葉の重さに気づいた。
慌てて妻を呼んだ。バケツを置いた。ティッシュで床を拭いた。それでも雨音と一緒に、ぽつぽつという音がやまない。
妻が、不安そうな顔で聞いた。
「これ、どうするの」
あなたは、答えられなかった。
築25年の一戸建て、雨漏りは突然やってきた
この家を買ったのは、30歳のときだった。
上の子が生まれて、アパートが手狭になって、思い切って住宅ローンを組んだ。4人家族で暮らすには少し小さかったけれど、庭があって、駐車場があって、夫婦にとっては夢のマイホームだった。
あれから25年。
子どもたちは独立して、今は夫婦二人暮らし。住宅ローンはあと10年残っている。定年まであと5年。
家のことは、考えたこともあった。外壁に少し色褪せがあることも、屋根の塗装がそろそろかなと思っていたことも、知っていた。
でも、「まだ大丈夫」「そのうち」と先延ばしにしてきた。
そのツケが、雨漏りという形でやってきた。
翌朝、雨がやんでから、天井をあらためて見た。クロスの変色は思ったより広がっていた。2階の寝室の一角、直径30センチほどの楕円形に、茶色いシミが広がっている。
気づかないうちに、少しずつ進行していたのだ。
雨漏りを放置すると、家はどうなるのか
スマホで調べて、あなたは青ざめた。
雨漏りを放置すると、家は驚くほど早く傷んでいく。
まず、天井裏の木材が腐食する。次に、壁の中の断熱材にカビが生える。電気配線が濡れるとショートの危険もある。床下まで水が伝わると、家の構造そのものが傷んで、地震の際の強度も落ちる。
最悪のケースでは、シロアリの温床になる。
「早く直さないと、もっと大事になる」
わかった。でも、どこに頼めばいいのか、まったく見当がつかなかった。
家を建てた時の工務店は、10年以上前に廃業していた。近所に防水工事の業者があるわけでもない。インターネットで検索すると、たくさんの会社が出てくる。でも、どこも「うちが一番」と書いてあって、本当はどこが信頼できるのかがわからない。
試しに一社、見積もりを取ってみた。
担当者が来て、屋根に上って、あれこれ調べた末、出てきた見積もりは200万円。
「えっ、200万円?」
想像以上だった。退職金を使えば払える金額だけど、これから10年のローン、老後の生活を考えると、簡単には出せない金額だった。
「この金額、本当に妥当なのか?」
疑問が頭から離れなかった。
防水工事の費用、本当の相場を知りたかった
もう少し調べてみると、雨漏りや防水工事の業界にはいろいろな闇があった。
大手のハウスメーカーや塗装店に頼むと、実際の施工は下請け・孫請けに任されることが多い。中間マージンが発生するから、最終的な料金は高くなる。
逆に、訪問販売の業者は不安が残る。「今なら半額」「今日契約すれば特別価格」と迫ってくる業者もいると聞いた。
本当に信頼できるのは、地元で実際に施工している「直接施工業者」。でも、個人でその業者を探すのは至難の業だった。
さらに、防水工事には工法がいくつもあって、建物に合った工法を選ばないと、せっかく工事してもすぐにまた雨漏りする。
ウレタン防水:4,500〜6,500円/㎡(耐久年数12年前後・万能型)
シート防水(塩ビ):3,000〜5,500円/㎡(耐久年数13年前後・屋上向け)
FRP防水:6,000〜8,000円/㎡(耐久年数10年前後・ベランダ向け)
アスファルト防水:6,000〜8,000円/㎡(耐久年数20年前後・ビル屋上向け)
建物の状態や施工場所によって最適な工法は異なります。安いからといってウレタン防水ばかり勧めてくる業者や、高いからと断定せずに、建物に合った工法を提案してくれる業者を選ぶことが大切です。
見積書の読み方も勉強した。下地処理工事、防水の工法、材料費、足場や養生などの付帯工事。一つひとつの項目が丁寧に書かれているかどうかで、業者の誠実さが見える。
勉強すればするほど、最初に受けた200万円の見積もりが、本当に妥当なのかどうか、自分には判断できないことがわかった。
「複数の業者の見積もりを比べないとダメだ」
それはわかった。でも、一社一社に連絡して、来てもらって、断るときのやり取りをして、を繰り返す時間と気力が、自分にはなかった。
「一括見積もり」という仕組みを知った夜
そんなとき、検索の中で一つのサービスに目が止まった。
防水工事の一括見積もりサイト。
条件を入力すると、その地域の優良業者3〜5社を厳選して紹介してくれる。それぞれから簡易見積もりが届いて、比較できる。気に入った業者があれば、そこにだけ現地調査を依頼できる。利用はすべて無料。
「これなら、一度に比較できる」
さらに、紹介される業者は「直接施工業者」のみ。中間マージンがないから、価格が適正になりやすい。
過去の利用者の事例も載っていた。
ある人は、最初に取った見積もりが200万円だったのに、一括見積もりで比較したら150万円まで下がったという。別の人は、120万円の見積もりが、比較した結果85万円になったという。
平均で20万円以上の節約実績。
「一度、試してみようか」
あなたは妻に相談した。
「申し込むだけなら、無料だし。比較して考えればいい」
妻は、うなずいた。
3社の見積もり、予想以上の差が出た
申し込みから数日後、3社の簡易見積もりが届いた。
A社:160万円
B社:145万円
C社:130万円
最初の200万円の見積もりから、最大70万円の差。
驚いたのは、価格の差だけじゃなかった。
各社の見積書を並べて読むと、工法の提案、使う材料、足場のかけ方、付帯工事の内容が、それぞれ微妙に違っていた。
A社は最新の工法を推していた。B社は標準的な内容だった。C社は地域密着で、「この地域の気候に合った工法」を提案してくれていた。
価格だけで選ぶのではなく、提案内容を比べられるのが、一括見積もりの本当のメリットだった。
あなたは、妻と一緒に夕食後、見積書を広げて相談した。
「C社、気になる。地元で長くやってるみたいだし」
「そうだね。金額も良心的だし、説明も丁寧だ」
C社に、現地調査を依頼することにした。
現地調査から見えた、雨漏りの「本当の原因」
数日後、C社の職人さんが来てくれた。
50代ほどの、物腰の柔らかい人だった。屋根に上って、外壁を確認して、屋根裏にも入って、2時間かけて調べてくれた。
その後、リビングで詳しく説明してくれた。
「博さん、雨漏りの原因は、屋根の瓦の一部が割れていることと、ベランダの防水層が劣化していることの二つです」
「二ヶ所も……?」
「はい。最初の業者さんが提案された200万円は、屋根全体の葺き替え込みの金額だと思います。実は、今の段階では葺き替えまでは必要ないんです。ピンポイントの補修で十分です」
あなたは、ホッとした。
「それから、ベランダの防水層は、今のうちにやり直したほうがいいです。このまま放置すると、家の構造に影響が出ます」
最終的な見積もりは、115万円。
最初の見積もりから、85万円の節約になった。
工事が終わって、家が「もう一度、強くなった」
1ヶ月後、工事が完了した。
屋根の瓦は修繕され、ベランダの防水層は新しくなった。天井のクロスも張り替えた。
工事が終わった日、雨が降った。
妻と二人で、寝室に座って、天井を見上げていた。
雨音は聞こえる。でも、水は落ちてこない。
たった1ヶ月前、同じ場所で水滴を見上げて、途方に暮れていた自分がいたことを思い出した。
「これで、また10年は安心して住めるね」
妻が、そう言って笑った。
65歳、75歳、80歳。
これから先、あなたと妻はこの家で、まだ長く暮らしていく。子どもたちが帰ってくる場所として、夫婦で静かに老いていく場所として。
家を守ることは、これからの人生を守ることだった。
もしあなたが、天井のシミに気づいたなら
天井に茶色いシミを見つけた。大雨の日に水滴が落ちてきた。壁紙が膨らんでいる気がする。
もしそんなサインに気づいたなら、早めに動いたほうがいい。
雨漏りは、放置すると家の寿命を確実に縮める。でも、今の段階で適切な業者に頼めば、最小限の工事で根本から解決できる。
一社だけの見積もりに頼ると、博のように200万円の工事を勧められて、本当は半額で済む工事だった、ということが起きる。
一括見積もりは、比較するだけなら無料。比較した後に依頼するかどうか、どの業者を選ぶかは、あなたが決められる。
定年まであと10年。定年後の20年、30年。これから長く住むつもりの家だからこそ、業者選びで失敗したくない。
50代は、自分の家と真剣に向き合う最後のタイミングかもしれません。
台風の夜、ぽつりと落ちた水滴を見上げた、あの瞬間。
あれは、家があなたに送った「そろそろ手入れしてほしい」というサインだった。
30年前、このマイホームを夢見て、ローンを組んだあの日。
これから先も、家族の思い出が積もっていく場所として、この家を守っていきたい。

