57歳、ノートに書き溜めた30年分の言葉。「本を出したい」と思いながら、ずっと踏み出せなかった。

登場人物

茂(しげる)、57歳。千葉県在住の会社員。定年まであと3年。営業一筋で30年以上働いてきた。若い頃から「いつか本を書きたい」と思っていた。営業で培った人間観察や、仕事で出会った人たちのエピソード。ノートに書き溜めた雑感が何冊分もある。でも「自分みたいな普通のサラリーマンが本を出すなんて」と思って、ずっと踏み出せずにいた。定年が近づいて、「今書かなかったら、一生書かない」という焦りが生まれている。

書斎の本棚の一番下に、古いノートが8冊、並んでいる。

20代の頃から、少しずつ書き溜めてきた雑感。営業先で出会った人のこと。電車の中で見かけた風景。仕事で失敗した夜に考えたこと。娘が生まれた日の気持ち。

誰に見せるわけでもない。ただ、書かずにはいられなかった。

30年分の言葉が、あのノートの中に眠っている。

57歳。定年まであと3年。

最近、本棚の前に立つ時間が増えた。ノートを手に取って、パラパラとめくる。若い頃の自分の字は、今より少しだけ力強い。

「いつか、これを本にしたいな」

20代の頃から、ずっと思っていた。でも、一度も踏み出さなかった。

「自分みたいな人間が、本を出すなんて」

営業一筋で30年以上。特別な才能があるわけじゃない。文学賞に応募したこともない。小説家になりたかったわけでもない。

ただ、書くことが好きだった。

取引先の社長が話してくれた、戦後の起業の苦労話。飛び込み営業で100回断られた末に契約が取れた日の興奮。リストラの噂が流れた年に、部下を守ろうと奔走した夜。定年退職した先輩が、最後の日に言った「俺の人生、悪くなかったよ」という一言。

どれも、普通の出来事だ。歴史に残るような大事件ではない。でも、あなたにとっては、かけがえのない瞬間だった。

それをノートに書いた。30年間、書き続けた。

でも、「本にする」とは、一度も思い切れなかった。

「自分みたいな普通のサラリーマンが書いたものなんて、誰が読むんだ」

その一言が、ずっと自分を止めていた。

定年が近づいて、焦りが生まれた

定年まで、あと3年。

57歳の誕生日を迎えた夜、妻と二人で食事をしながら、ふと聞かれた。

「定年したら、何するの?」

ゴルフ。散歩。旅行。思いつくことはいくつかあった。でも、どれも「暇つぶし」の域を出ない。

本当にやりたいことは、わかっていた。

「……本を書きたい」

声に出したのは、初めてだった。

妻が驚いた顔をした。「え、本?」

「うん。ずっと思ってた。ノートに書き溜めたものを、ちゃんとした形にしたい」

妻は少し考えてから、言った。

「いいじゃない。やってみたら」

その夜、書斎でノートを全部取り出した。8冊。30年分。

読み返すと、忘れていた記憶が次々に蘇ってきた。あの人の顔、あの日の空気、あの時の自分の感情。

「これを、本にしたい」

気持ちが、固まった。

出版の壁は、想像以上に高かった

翌日から、出版について調べ始めた。

まず、出版社に原稿を持ち込む方法。でも、無名の57歳サラリーマンの原稿を出版社が受け取ってくれるとは思えなかった。文学賞に応募する方法もあるけれど、受賞できる確率は宝くじに近い。

次に、自費出版。調べて驚いた。100万円、200万円、場合によっては300万円以上かかる。書店に並べてもらうには、さらに費用が必要。しかも、ほとんどの自費出版本は、書店の隅に数週間置かれて、そのまま返品される。

「300万円出して、誰にも読まれない本を作るのか……」

現実を知って、気持ちが萎えた。

やっぱり、無理なのか。自分みたいな普通の人間が、本を出すなんて。

ノートを本棚に戻しかけた。

「2万円で、Amazonから本が出せる」

諦めかけていたある夜、スマホで「本 出版 個人」と検索していた。

検索結果の中に、「電子書籍出版」という言葉があった。

電子書籍。Kindle。Amazonで本を出す。

知ってはいた。でも、「電子書籍は若い人がやるもの」「ITに詳しくないと無理」と思い込んでいた。

調べてみると、その思い込みは間違いだった。

原稿をWordで作って渡せば、電子書籍の形に変換して、Amazonで配信してくれる代行サービスがあった。通算2,000冊以上の出版実績。プロのデザイナーが表紙を作ってくれる。文章校正もしてくれる。紙の本として印刷出版することもできる。

そして、費用。

19,800円。

自費出版の300万円と比べて、100分の1以下。しかも完全後払い。出版が完了するまで一切費用がかからない。

「2万円で、Amazonから本が出せるのか」

さらに驚いたのは、印税だった。従来の紙の出版では、印税は10%。800円の本が100冊売れても、8,000円。でも、Kindle電子書籍なら、最大70%。同じ条件で56,000円。

しかも、Amazonが24時間、世界中で販売してくれる。書店に並ぶかどうかを心配する必要もない。

「これなら、自分にもできるかもしれない」

ノートを、もう一度本棚から取り出した。

茂が見つけたのは、このサービスだった

※19,800円から出版可能。完全後払い制度で安心

原稿を書き始めた夜、手が震えた

問い合わせをして、出版の流れを教えてもらった。

まず、原稿を書く。Wordでいい。それを渡せば、あとはプロが電子書籍の形に仕上げてくれる。

あなたは、パソコンに向かった。

ノートを横に置いて、30年分の記憶を、一つずつ言葉にしていく。

最初の一行を打ったとき、指が少し震えた。

これは、自分の人生だ。自分が見てきたもの、感じてきたこと、出会ってきた人たち。それを、文字にして、本にして、誰かに読んでもらう。

怖かった。でも、嬉しかった。

30年間ノートに書き溜めてきた言葉が、ようやく「本」という形を目指して動き出した。

毎晩、仕事から帰って、夕食の後に1時間ずつ書いた。週末は午前中に3時間。少しずつ、原稿が積み上がっていった。

妻が、たまにコーヒーを持ってきてくれた。「進んでる?」と聞いて、笑っていた。

Amazonに自分の本が並んだ日

3ヶ月かけて、原稿を書き上げた。

代行サービスに渡して、文章校正をしてもらい、表紙をデザインしてもらった。表紙のデザイン案が届いたとき、息を飲んだ。自分の本に、プロが作った表紙がついている。それだけで、本物の「本」になった気がした。

そして、配信完了の通知が届いた。

Amazonを開いた。検索窓に、自分の名前を打ち込んだ。

自分の本が、表示された。

表紙、タイトル、著者名。「茂」という名前が、Amazonの画面に載っている。

しばらく、画面を見つめていた。

30年間、ノートの中だけに存在していた言葉が、今、世界中の誰でも読める場所に置かれている。日本だけじゃない。アメリカでも、ヨーロッパでも、アジアでも、Amazonを通じて誰でも買える。

妻に見せた。

「すごいね、あなた。本当に本になったんだね」

その夜、一人で書斎に戻って、空っぽになった本棚の一番下を見た。8冊のノートがあった場所。

ノートは、まだそこにある。でも、その中の言葉は、もうノートの中だけに閉じ込められていない。

最初のレビューが届いた朝

出版から2週間後、最初のレビューがついた。

知らない人だった。会ったこともない、名前も知らない誰か。

「同世代のサラリーマンです。読んでいて、自分の30年間と重なりました。電車の中で読んでいたら、少し泣きそうになりました」

画面を見ながら、あなたは声を出さずに泣いた。

30年間、誰にも見せなかった言葉が、見知らぬ誰かの心に届いた。

「自分みたいな普通のサラリーマンが書いたものなんて、誰が読むんだ」

あの言葉は、間違いだった。

普通の人の、普通の言葉こそ、誰かの心に届く。

もしあなたが、ノートを閉じたまま本棚にしまっているなら

ずっと「書きたい」と思っていた。でも、踏み出せなかった。

「自分なんかが」「誰が読むんだ」「出版なんて大げさだ」

そう思って、ノートを閉じたまま本棚に戻してきた。

もしそんなあなたがいるなら、一つだけ知っておいてほしい。

今の時代、本を出すのに出版社の許可は要らない。300万円の自費出版費用も要らない。2万円と、あなたの原稿があれば、Amazonから本が出せる。

Wordが苦手でも大丈夫。原稿の形になっていなくても大丈夫。何もわからない状態からサポートしてくれる。完全後払いだから、出版が完了するまで一銭もかからない。

50代の人生には、本一冊分の物語が詰まっている。あなたが経験してきたこと、感じてきたこと、出会ってきた人たち。それは、あなたにとっては「普通」かもしれない。でも、同じ時代を生きてきた誰かにとっては、心に響く物語になる。

ノートの中の言葉を、世界に届ける

※原稿がなくても相談OK。何もわからない状態からサポート

書斎の本棚の一番下。30年分のノートが並んでいる。

あのノートを開いて、最初の一行を打ち込んだ夜。指が震えたけれど、心は静かに燃えていた。

57歳。「いつか」はもう来ている。ノートを開くか、閉じたままにするか。それを決めるのは、あなた自身だ。