53歳、父が逝った年まであと12年。このままでいいのか、と思い始めた夜。

登場人物

修(おさむ)、53歳。群馬県在住の会社員。定年まであと12年。財形貯蓄は続けている。でも、年金だけでは足りないという話をニュースで聞くたびに、胸のどこかがざわつく。8年前に父が65歳で他界した。その年齢まで、あと12年しかない。ある夜、ふとそのことに気づいてから、眠れなくなった。

父が使っていた湯呑みが、実家の戸棚にまだある。

8年前に父が逝ってから、誰も触れていない。薄い緑色の釉薬。縁に小さな欠け。帰省のたびにその湯呑みを目にして、修はいつも何も思わずにいた。ただ、そこにある、という感じで。

でもある夜、風呂から上がって鏡を見たとき、ふと数えた。

父が逝ったのは、65歳だった。修は今年で53歳。差は、12年。

その数字が、鏡の中で静かに浮かんだ。浮かんで、消えなかった。

父は、何も言わずに逝った

父は働き者だった。定年まで同じ会社に勤め、毎月きちんと貯金をして、退職金を受け取り、質素に暮らした。老後の心配はないと思っていたはずだ。修もそう思っていた。

でも、退職してから5年も経たずに、逝った。

旅行に行くつもりだった場所があったと、母から聞いた。北海道に行きたいと言っていたらしい。一度も行けなかった。貯めていたお金は母が受け取ったが、父はその一円も、自分のために使わなかった。

湯呑みの欠けを見るたびに、なぜかそのことを思う。あの欠けは、いつからあったのだろう。父は気にしていたのだろうか。それとも、気に入っていたのだろうか。

もう、聞けない。

53歳の夜、ざわつきの正体

修は毎月、財形貯蓄をしている。会社員になった年から、ずっと続けてきた。額は多くない。でも、続けてきたことだけは確かだ。

ある夜、年金の試算を調べてみた。

もらえる見込みの額を見て、少し黙った。今の生活費と比べると、毎月10万円以上足りない。財形は続けている。退職金の見込みもある。でも、それで本当に大丈夫なのか。定年後の30年を、どう生きるのか。

考え始めると、止まらなくなる。止まらないまま、朝になる。

父が逝った年まで、あと12年。

その数字が、夜になるたびに戻ってくる。

「貯める」だけでは、もう追いつかない

ある夜、スマホで「50代 資産運用 何から」と打ち込んだ。

いくつかの記事を読んでいくうちに、不動産投資という言葉が繰り返し出てきた。家賃収入を私的年金にする。実物資産だからインフレに強い。万が一のとき、生命保険代わりになる。

「本当の話なのか、それとも怪しいのか」

判断できるほどの知識が、自分にはなかった。でも、知らないまま何もしないより、一度ちゃんと聞いてみたかった。誰かに。フラットに。

さらに読み進めると、資産運用の専門家を無料で紹介してくれる相談窓口があることを知った。購入を前提としない。自分の状況を話すだけでいい。

「話を聞くだけなら、できる」

知らないでいるより、知っている方がいい。

※相談だけでOK。何度でも完全無料

初めて、お金の不安を口にした夜

面談は、平日の夜にオンラインで行われた。

修は、少し迷ってから、正直に話すことにした。財形は続けているが、足りるかどうかわからないこと。父が65歳で逝ったこと。自分にはあと12年しかないかもしれないと気づいてから、夜に眠れなくなったこと。

話しながら、少し恥ずかしくなった。こんなふうにお金の不安を誰かに打ち明けたのは、初めてだった。妻にも、言えていなかった。

アドバイザーは、遮らずに聞いていた。数字を一緒に整理してくれた。漠然としていた不安が、少しずつ輪郭を持ち始めた。怖かったけれど、形が見えた方が、まだよかった。

「今すぐ決めなくていい」という言葉が、妙に胸に残った。

面談が終わったのは、夜の9時過ぎだった。スマホを置いて、修はしばらくそのまま座っていた。窓の外に、群馬の夜が広がっていた。山の稜線が、街の灯りをうっすら縁取っている。

「知らないでいるより、知っている方がいい」

それだけのことが、なぜかずっとできていなかった。

もしあなたも、夜になると戻ってくる問いがあるなら

定年まであと10年、15年。貯蓄は続けている。でも本当に足りるのか。年金だけでは心もとない。株は怖い。何かしなければと思いながら、何から手をつければいいのかわからないまま、また夜になる。

そのざわつきを、ずっと一人で抱えてきたのではないか。

家族には心配させたくない。弱みを見せるのが怖い。だから、誰にも言わないまま、ニュースを見るたびに胸がざわつき、給与明細を見るたびに目を逸らし、気がついたら眠れない夜が続いている。

でも、知らないでいることが、一番のリスクかもしれない。

一度だけ、声に出してみてほしい。売り込みではなく、あなたの状況を一緒に整理してくれる人が、いる。話すだけでいい。今夜でも、仕事が終わった後でも。

父の湯呑みを見るたびに感じていたざわつきを、あなたも知っているなら

※厳選された専門家が無料でサポート

実家の戸棚に、父の湯呑みがある。薄い緑色の釉薬。縁に小さな欠け。

父は何も言わずに逝った。北海道にも行けなかった。貯めていたお金は、一円も自分のために使わなかった。

修はまだ、53歳だ。父が逝った年まで、あと12年ある。その12年を、どう生きるか。今夜初めて、その問いに向き合った気がした。

窓の外の夜が、少し違う色に見えた。