56歳、母のタンスから出てきた金のネックレス。捨てられない、でも使わない。

登場人物

陽子(ようこ)、56歳。神奈川県在住。夫(59歳)と二人暮らし。子どもは独立済み。1年前に母(享年82歳)が亡くなり、実家の遺品整理を進めている。母のタンスの奥から、金のネックレス、プラチナの指輪、K18のブレスレット、金縁のメガネ、古い金杯など、貴金属がいくつも出てきた。母が大切にしていたものだけど、自分には合わないし、このまま置いておいても使わない。でも、捨てるのは忍びない。どうすればいいかわからないまま、箱に入れてクローゼットにしまったままになっている。

母のタンスを開けたのは、四十九日が過ぎた日曜日のことだった。

実家の片付けを、少しずつ進めなければいけなかった。妹と二人で日程を合わせて、週末に実家に通っている。キッチン、リビング、書斎。少しずつ、母の持ち物を仕分けていく。

最後に残ったのが、寝室のタンスだった。

引き出しを一つ一つ開けていく。着物の帯、手袋、ハンカチ、母が大切にしていた手紙の束。

一番下の引き出しの、奥のほうに、古い桐の箱があった。

蓋を開けた。

金色に光るネックレス。プラチナの指輪。K18と刻印されたブレスレット。金縁のメガネ。小さな金杯。

母が、大切にしまっていた貴金属だった。

あなたは、しばらくその箱を見つめていた。

母の思い出が詰まった貴金属、捨てられない

金のネックレスは、父が母の還暦祝いに贈ったものだった。母はそのネックレスを、よそ行きの時にだけつけていた。デパートに行く日、お正月に親戚が集まる日、娘の結婚式の日。

プラチナの指輪は、結婚30周年の記念に、夫婦でペアで作ったもの。父の分はお棺に入れた。母の分が、ここに残っている。

K18のブレスレットは、妹が留学先のイタリアからお土産で贈ったものだったと思う。金杯は、父が会社の退職記念にもらったもの。金縁のメガネは、母が70代になってから掛けていたもの。

どれにも、記憶がある。母の笑顔が、そこにある。

捨てるなんて、できなかった。

でも、自分がつけるかと言われると——つけない。デザインは母の世代のもので、自分には合わない。サイズも違う。金杯やメガネは、飾っておく場所もない。

「どうしよう」

あなたは桐の箱を閉じて、とりあえず持ち帰った。自宅のクローゼットの奥に、そっとしまった。

それから、1年が経った。

クローゼットの奥で、母の貴金属が眠っている

1年間、箱はクローゼットの奥で眠り続けた。

時々、存在を思い出す。衣替えのとき、コートを取り出そうとして箱に手が触れる。「まだここにあるな」と思って、またしまう。

妹に「お母さんのアクセサリー、どうする?」と聞いたこともある。

「私も使わないしなぁ。でも、捨てるのはね……」

二人とも、同じ気持ちだった。

使わない。でも捨てられない。かといって飾る場所もない。誰かにあげるほど親しい人もいない。

タンスの肥やし、という言葉が浮かんだ。母の大切なものを「タンスの肥やし」と呼ぶのは申し訳ないけれど、現実はそうだった。

「金の価格が、過去最高を更新した」というニュース

ある日のテレビで、ニュースが流れた。

「金の価格が過去最高を更新。1グラムあたり○○円を突破」

普段なら聞き流すニュースだった。でもその日は、クローゼットの奥の箱のことが頭をよぎった。

「お母さんのネックレス、今売ったらいくらになるんだろう」

売る気はなかった。ただ、「価値」を知りたくなった。

母が大切にしていたものが、今の相場でどのくらいの価値があるのか。それを知ることと、売ることは、別の話だ。

その夜、スマホで「金 買取 査定」と検索してみた。

「査定だけなら無料」という言葉に、少し安心した

検索結果に、いくつかの買取サービスが出てきた。

その中に、一つだけ気になるサービスがあった。

金・貴金属の買取専門。査定料、出張料、キャンセル料がすべて無料。女性の査定士を指名できる「レディースプラン」がある。出張買取なら、自宅に来てくれる。

さらに、金の重量だけで値段をつけるのではなく、ブランドや美術品としての付加価値も上乗せして査定してくれるという。一般的な買取店では見抜けない希少性も、専門の査定士が見極める。

「売らなくても、査定だけの依頼もOK」

その一文を見て、肩の力が抜けた。

価値を知るだけでいい。売るかどうかは、金額を見てから決めればいい。

陽子が見つけたのは、このサービスだった

※査定料・出張料・キャンセル料すべて無料。女性査定士の指名も可能

査定の日、母のネックレスが光った

出張査定を申し込んだ。女性の査定士を指名した。

約束の日、40代くらいの女性がやってきた。柔らかい物腰で、リビングのテーブルに品物を並べさせてもらった。

金のネックレス、プラチナの指輪、K18のブレスレット、金縁のメガネ、金杯。一つひとつ、丁寧に手に取り、ルーペで刻印を確認し、重さを量り、状態を見てくれた。

「陽子さん、お母様がとても大切にされていたのがわかります。状態がとてもいいですね」

その言葉が、嬉しかった。母の丁寧な暮らしぶりが、品物の状態に表れていた。

査定が終わって、金額が提示された。

合計で、想像していた金額の2倍以上だった。

「え、こんなに……?」

「金の相場が高騰していることと、ネックレスはブランド品としての価値も加算させていただいています」

あなたは、しばらく考えた。

そして、プラチナの指輪だけは手元に残すことにした。母と父の結婚30周年の記念。それだけは、自分の手元に置いておきたかった。

残りの品は、買い取ってもらうことにした。

母の貴金属が、新しい役目を見つけた

買取金額は、その場で現金で受け取った。

査定士さんが帰った後、あなたはリビングに座って、手元に残したプラチナの指輪を眺めていた。

クローゼットの奥で1年間眠っていた母の貴金属。使わないまま、ただ時間だけが過ぎていた。

でも今、その品物たちは新しい持ち主のもとへ行き、再び誰かの手首や首元で輝く。母が大切にしていた金のネックレスは、どこかの誰かが嬉しそうに身につけているのかもしれない。

買取で得たお金は、妹と半分ずつ分けることにした。

妹が言った。

「このお金で、お母さんの好きだったお店で、姉妹でご飯食べに行こうよ」

あなたは、うなずいた。

母の貴金属が、姉妹の食事会に変わる。母はきっと、「そうしなさい」と笑っている気がした。

もしあなたが、同じ箱をクローゼットにしまっているなら

親の遺品整理で出てきた貴金属。譲り受けたけれど使わないアクセサリー。デザインが合わなくて箱に戻したネックレス。

捨てるのは忍びない。でも使わない。クローゼットの奥にしまったまま、何年も経っている。

もしそんな箱が、あなたの家にもあるなら。

まずは「価値を知る」ことから始めてみてください。

査定は無料。出張料もキャンセル料もかからない。金額に納得できなければ、そのまま持ち続ければいい。女性の査定士を指名することもできる。

金の相場は今、過去にないほど高い。もし手放すなら、今がタイミングかもしれない。

でも、大切なのはタイミングではなく、「気持ちの整理」がついたかどうか。

査定してもらって、金額を知って、そこで初めて「手放すかどうか」を自分の気持ちと相談する。それでいいと思います。

クローゼットに眠らせておくより、価値を知ることから

※売らなくてもOK。査定だけのご依頼も歓迎

母のタンスの一番下の引き出し。あの桐の箱を開けた日のことを、時々思い出す。

金のネックレスに、母の指紋がうっすら残っている気がした。

あの品物たちは、もうここにはない。でも、母が大切にしていた気持ちは、プラチナの指輪と一緒に、今もあなたの手元にある。

56歳。母から受け継いだものを、自分なりの形で、次へつないでいく。