52歳、日曜の夕方にスーパーで一人分の惣菜を買う。この生活が、あと30年続くのかと思った。

登場人物

隆(たかし)、52歳。山口県下関市在住。地元のメーカーで管理職をしている。7年前に離婚して、一人暮らし。生活には困っていない。仕事もある。友人もいる。でも日曜日の夕方だけは、どうしても苦手だった。スーパーで一人分の惣菜をカゴに入れるとき、ふと手が止まる。「この生活が、あと30年続くのか」と。

日曜日の夕方5時、スーパーの惣菜コーナーの前にいた。

値引きシールが貼られ始めた時間帯。カゴには発泡酒の6缶パックと、冷凍うどん。あとは惣菜を一つか二つ。コロッケか、鶏の唐揚げか。どちらでもよかった。どちらを選んでも、食べるのは自分一人だった。

レジに並んで、前の家族連れを見た。父親がカートを押して、母親が子どもに「走らないで」と言っている。子どもは聞いていない。どこにでもある日曜日の風景だった。自分にも、そういう時期があった。

7年前に離婚した。原因はいくつもあったけれど、突き詰めれば、すれ違いが積み重なっただけだった。どちらが悪いわけでもない。ただ、一緒にいることが苦しくなった。そういう夫婦だった。

娘は元妻と暮らしている。年に数回、会う。連絡は取れている。仲が悪いわけではない。ただ、もう「家族」ではない。

一人の暮らしに慣れた。でも、慣れただけだった

一人暮らしには慣れた。52歳の男が一人で生活するのは、思ったほど大変ではなかった。洗濯も、掃除も、料理もそれなりにやる。会社の仕事は忙しいし、週末はジムに行ったり、釣りに出かけたりする。時間を持て余しているわけではない。

でも、日曜の夕方だけは苦手だった。週末が終わりかけて、夜が近づいてくる時間帯。テレビをつけても、画面の中は家族向けの番組ばかりで、自分の居場所がない気がした。

友人に話したことはない。「再婚とか考えないの?」と聞かれたことはある。「まあ、そのうちな」と笑ってごまかした。本心を言えば、考えていた。ずっと考えていた。でも、52歳の自分が「結婚したい」と口にするのは、なんだか恥ずかしかった。

マッチングアプリを3ヶ月やった

半年前、思い切ってマッチングアプリを始めた。スマホにアプリをダウンロードして、プロフィールを作って、写真を選んだ。自撮りは苦手だったから、釣りに行ったときに友人が撮ってくれた横顔の写真を使った。

3ヶ月やって、実際に会えたのは2人だった。どちらも30代の女性で、悪い人ではなかった。でも、会話が噛み合わなかった。話す話題も、笑うツボも、人生の重さも、違った。当然だと思う。20歳近く歳が離れていれば、見てきた景色が違う。

2人目の女性と別れた帰り道、下関駅のホームでぼんやりと電車を待ちながら思った。「もう無理なのかもしれない」。アプリを消した。

それから3ヶ月、何もしていなかった。何もしていないのに、日曜の夕方だけは相変わらず苦手だった。

「50代 婚活」で検索した夜

ある夜、いつものように一人で晩酌をしていた。発泡酒を開けて、テレビのチャンネルを回して、どこにも止まらなくて消した。静かだった。冷蔵庫のモーター音だけが聞こえた。

スマホを開いて、なんとなく「50代 婚活」と検索した。アプリを消したくせに、まだ諦めきれていない自分がいた。

出てきたのは結婚相談所のサイトだった。アプリとは違う。担当のカウンセラーがついて、自分に合う相手を一緒に探してくれるらしい。

その中に、一つだけ気になるところがあった。40代・50代に特化している。超少人数制で、一人ひとりに合わせた個別サポートをしている。オンラインで全国どこからでも相談できる。

下関にいても、相談できるのか。画面をスクロールしながら、少しだけ気持ちが動いた。アプリのときとは違う。自分と同じ年代の、同じ温度感の人がいる場所。そういう場所があるなら、話だけでも聞いてみたいと思った。

隆が無料相談を申し込んだのは、ここだった

画面越しに、初めて本音を話した

無料相談はオンラインだった。パソコンの画面に、カウンセラーの顔が映った。穏やかな声だった。

最初は緊張した。結婚相談所に相談するなんて、初めてのことだった。何を話せばいいのかわからなかった。でも、カウンセラーが「今、どんなお気持ちですか」と聞いてくれたとき、思ったよりもすんなり言葉が出た。

「一人の生活には慣れました。でも、慣れただけなんです」

「日曜の夕方が苦手で。スーパーで一人分の惣菜を買うのが、地味にしんどくて」

友人にも言えなかったことを、画面越しの相手に話していた。カウンセラーは黙って聞いてくれていた。否定も、励ましも、アドバイスもなく。ただ、聞いてくれていた。

30分くらいだったと思う。通話が終わったあと、パソコンを閉じて、天井を見た。胸の中が少しだけ軽くなっていた。何かが解決したわけではない。でも、「一人で抱えていたものを、初めて誰かに渡した」という感覚があった。

もしあなたが、日曜の夕方を持て余しているなら

一人の暮らしに慣れた。仕事もある。友人もいる。でも、日曜の夕方だけはどうにもならない。「再婚なんて」と思いながらも、諦めきれていない自分がいる。

マッチングアプリを試して、うまくいかなかった。年齢が離れた相手とは会話が噛み合わなかった。「もう無理かもしれない」と思った。

もしそんなあなたがいるなら、一つだけ知っておいてほしい。同じ年代の、同じ温度感の人たちが集まっている場所がある。40代・50代に特化した結婚相談所。アプリとは違う。担当のカウンセラーが、あなたの話を聞くところから始めてくれる。

まずは話してみるだけでいい。無料相談がある。オンラインだから、どこに住んでいても構わない。

日曜の夕方が、少しだけ変わるかもしれない

日曜日の夕方5時。隆はまだスーパーの惣菜コーナーの前にいる。

でも最近、カゴに入れる惣菜を選ぶとき、ほんの少しだけ迷うようになった。「もし誰かと食べるなら、コロッケと唐揚げ、どっちが喜ぶだろう」。そんなことを、ふと考える。

まだ何も決まっていない。相手もいない。でも、「誰かと食べる夕飯」を想像している自分がいる。それだけで、日曜の夕方が少しだけ変わった気がした。