54歳、30歳で買ったオメガが引き出しの奥で止まっている。もう2年、針は動いていない。

登場人物

健一(けんいち)、54歳。岐阜県在住の会社員。30歳のときに初めてのボーナスで買ったオメガのスピードマスター。以来24年間、毎日つけていた相棒。でも2年前にスマートウォッチに替えてから、引き出しの奥に眠っている。先日、ガラスに傷がついているのに気づいた。動かさないまま放置して、さらに劣化させてしまうのが忍びない。でも、売るのも惜しい。妻に「もうつけないなら売ったら?」と言われている。

引き出しを開けた。

奥のほうに、黒い時計ケースがある。もう2年、開けていない。

蓋を開けた。オメガのスピードマスターが、そこにいた。

針が止まっている。12時17分。2年前に最後に外した時刻のまま、時間が止まっている。

文字盤に顔を近づけた。ガラスの端に、小さな傷がある。いつついたのかわからない。引き出しの中で、何かに当たったのかもしれない。

「ごめんな」

思わず、声が出た。

30歳の冬、初めてのボーナスで買った時計

あの時計を買ったのは、30歳の冬だった。

転職して初めてのボーナス。額面を見て、「よし」と思った。ずっと欲しかったものを、買うと決めた。

オメガ・スピードマスター。アポロ11号の宇宙飛行士が月面に持って行った時計。子どもの頃から憧れていた。

名古屋の時計屋に行った。ショーケースの前で、30分迷った。店員さんに「つけてみますか」と言われて、左腕に巻いた瞬間、心が決まった。

ずしりと重い。でも、その重さが心地よかった。

「これください」

妻(当時は彼女)に報告したら、「高っ!」と叫ばれた。でも、腕につけている姿を見て、「……似合うやん」と笑ってくれた。

それから24年間、毎日つけた。仕事の日も、休日も、旅行にも。結婚式の日もつけていた。子どもが生まれた日も、この時計を見て時刻を確認した。

24年分の時間が、あの文字盤の上を流れた。

スマートウォッチに替えた日、引き出しにしまった

2年前、会社の後輩にスマートウォッチを勧められた。

「健一さん、これ便利っすよ。通知も見れるし、歩数も測れるし」

試しに買ってみた。軽い。便利。スマホの通知が手首で見れる。健康管理もできる。

気がついたら、毎日スマートウォッチをつけるようになっていた。

オメガは、外された。左腕から降りて、引き出しの中に入った。

「また明日つけよう」と思っていた。でも、明日は来なかった。1週間が1ヶ月になり、1ヶ月が半年になり、半年が2年になった。

機械式時計は、動かさないと止まる。ゼンマイが巻かれなくなったスピードマスターは、12時17分で止まったまま、引き出しの奥で眠り続けていた。

妻の一言と、ガラスの傷

ある日、妻が言った。

「ねえ、あのオメガ、もうつけないんでしょ。売ったらどう?引き出しに入れっぱなしにしとくのも、もったいないやん」

「……まあ、そうなんやけど」

わかっている。もう2年もつけていない。これからも、たぶんつけない。スマートウォッチの便利さに慣れてしまった左腕は、もうあの重さに戻れない。

でも、売るのは別の話だ。30歳の自分が、初めてのボーナスで買った時計。結婚式の日も、子どもが生まれた日もつけていた時計。24年間の相棒を、お金に換えることへの抵抗があった。

そして、ガラスの傷。引き出しの中で、知らないうちについた傷。このまま放置すれば、さらに劣化していく。機械式時計は、動かさないとオイルが固まり、内部の部品が痛む。

引き出しの中でゆっくり壊れていくのを、見て見ぬふりするのか。

それとも。

「東京の激戦区価格」で査定してくれると知った夜

その夜、スマホで「オメガ スピードマスター 買取」と検索してみた。

売る気ではなかった。ただ、今のあいつにどれくらいの値段がつくのか、知りたかった。

買取サイトがいくつか出てきた。その中に、一つだけ気になるサービスがあった。

東京・上野・御徒町の時計専門店が運営する宅配買取。時計専門で20年以上の実績。「簡単買取パック」を申し込むと、宅配キットが届く。時計を入れて送り返すだけ。24時間以内に査定結果が届く。

「東京の買取激戦区の高額相場で査定」という言葉が目に留まった。

岐阜にいながら、東京の激戦区の相場で査定してもらえる。地方の店に持ち込むより、高い金額がつく可能性がある。

しかも、査定に納得できなければキャンセル無料。返送料もかからない。運送中の事故にも、最大1,000万円の損害保険がついている。

「査定だけなら、リスクがないのか」

健一が見つけたのは、このサービスだった

※宅配買取で全国対応。キャンセル無料。1,000万円の損害保険付き

宅配キットを開けたとき、少しだけ覚悟が決まった

簡単買取パックを申し込んだ。3日後、宅配キットが届いた。

段ボールを開けると、時計を安全に送るための梱包材と、着払い伝票が入っていた。

引き出しからオメガを取り出した。

もう一度、文字盤を見た。12時17分。止まったままの針。ガラスの傷。

24年間、毎日一緒にいた。あの重さが、左腕にないことに、ようやく慣れてしまった。

梱包材に包んで、段ボールに入れた。コンビニから発送した。

手ぶらで帰る帰り道、左腕が少しだけ軽かった。いや、左腕にはスマートウォッチしかない。軽いのは、気持ちのほうだったのかもしれない。

査定額を見て、30歳の自分に感謝した

翌日、査定結果の連絡が来た。

金額を見て、驚いた。

24年前に買ったときの価格に近い金額がついていた。スピードマスターは、時計市場で安定した人気がある。状態も、24年間大切に扱ってきたことが評価された。ガラスの傷も、最小限の減額で済んだ。

「この金額で買い取らせていただけますか?」

少し考えた。

30歳の自分が、初めてのボーナスを握りしめて時計屋に行った。あの日の興奮を思い出した。ショーケースの前で30分迷って、左腕に巻いた瞬間に心が決まった、あの感覚。

あの時計は、24年間、自分と一緒に時間を刻んでくれた。役目は、十分に果たしてくれた。

「お願いします」

翌日、口座に買取金が振り込まれていた。

30歳の自分が選んだ時計は、24年後も価値を保っていた。あの日のボーナスは、無駄じゃなかった。

もしあなたが、引き出しの奥に時計を眠らせているなら

若い頃に買った高級時計。大切にしてきた。でも、スマートウォッチに替えてから、もうつけていない。引き出しの奥で、針が止まっている。

売るのは惜しい。でも、このまま放置すれば劣化する。機械式時計は動かさないとオイルが固まり、内部部品が痛む。引き出しの中で、静かに壊れていく。

もしそんなあなたがいるなら、まず「今の値段」を知っておくことをおすすめしたい。

時計専門の宅配買取なら、自宅にいながら東京の激戦区の相場で査定してもらえる。宅配キットは無料。査定に納得できなければキャンセル無料。返送料もかからない。1,000万円の損害保険付き。

値段を知ったからといって、すぐに売る必要はない。でも、知っておけば、手放すかどうかを「気持ち」ではなく「数字」で判断できる。

引き出しで止まっている針を、もう一度動かす方法がある

※時計専門20年以上の実績。東京の激戦区価格で買取

引き出しを開けた。黒い時計ケース。蓋を開けると、針が止まったスピードマスターがいた。

今、その引き出しは空になっている。

でも、30歳の冬、ショーケースの前で心が決まったあの瞬間は、今もちゃんと胸の中で動いている。時計は手放しても、あの時間は止まらない。