57歳、会社の財務諸表は読めるのに、自分のお金の増やし方がわからない。妻が入門書に「がんばれ」と貼っていた。

登場人物

孝一(こういち)、57歳。千葉県柏市在住。食品メーカーの経理部課長。妻(55歳)と二人暮らし、子供二人は独立。あと3年で定年退職。株式投資に興味はあるが、何を買えばいいかわからない。

証券口座の画面を開いて、孝一は固まった。

何千もの銘柄が並んでいた。数字がずらりと並んでいる。PER、PBR、配当利回り、時価総額。一つ一つの意味は、入門書で読んだ。でも、どの数字を見て、どの銘柄を選べばいいのか。画面の前で、孝一は30分間、何も動けなかった。

35年間、会社の数字は読めたのに

孝一は食品メーカーの経理部で35年間働いてきた。財務諸表を読み、予算を組み、決算を締めてきた。数字を扱うことは得意だった。会社の数字なら、どこを見れば何がわかるか、目をつぶっていてもわかる。

でも、自分のお金を運用したことは一度もなかった。毎月の給料は銀行口座に入り、住宅ローンと生活費と子供の学費に消えた。残ったものは、わずかな預金だった。それでいいと思っていた。退職金と年金があれば、老後はなんとかなるだろうと。

あと3年で定年。退職金の概算は出ている。年金の見込み額も計算した。並べてみたら、月々の支出を引いた残りが、想像よりずっと少なかった。

35年間、会社の数字は読めたのに、自分の老後の数字を見たとき、孝一は初めて不安になった。

本屋で入門書を買った1月の朝

1月の朝だった。出勤前に駅前の本屋に寄った。投資のコーナーに、株の入門書が何十冊も並んでいた。どれを買えばいいかもわからなかったが、一番わかりやすそうなものを一冊選んだ。

帰宅後、居間のテーブルで読んだ。PERは株価収益率、PBRは株価純資産倍率、配当利回りは配当金を株価で割ったもの。経理部の人間だから、指標の意味はすぐに理解できた。

でも、「理解する」ことと「選べる」ことは、まったく違った。

指標の見方はわかった。でも、何千もある銘柄の中から、どの会社の株を買うべきか。それを決める基準が、孝一にはなかった。PERが低い会社はたくさんある。PBRが1倍未満の会社もたくさんある。その中から、なぜこの会社を選ぶのか。その「なぜ」が、入門書には書いてなかった。

妻が入門書に、付箋を貼っていた

孝一は夜中にスマホで株のことを調べるようになった。布団の中で、画面の光を頼りに、投資の記事を読んだ。妻は隣で眠っているように見えた。

ある朝、出勤前にテーブルの入門書を手に取ったとき、小さな付箋が貼ってあることに気づいた。昨日は貼っていなかった。

付箋には、妻の字で「がんばれ」とだけ書いてあった。

孝一は黙ってその付箋を剥がして、スーツの内ポケットに入れた。妻は台所で朝食の支度をしていた。孝一は「行ってきます」と言った。妻は「行ってらっしゃい」と答えた。それだけだった。

妻は株のことは何もわからない。PERもPBRも知らない。でも孝一が最近、家族のために何かを始めようとしていることは、わかっていた。居間に置きっぱなしの入門書。夜中にスマホを見ている横顔。妻はそれを黙って見ていて、付箋を一枚だけ貼った。「がんばれ」。それだけで十分だった。

銘柄を選ぶことが、一番難しかった

証券口座は開いた。入金もした。あとは買うだけだった。でも、何を買えばいいかがわからなかった。

ネットで「おすすめ銘柄」を検索すると、毎日違う銘柄が並んでいた。昨日のおすすめが今日は下がっている。先週の注目銘柄が今週は話題にもなっていない。情報が多すぎて、どれを信じていいかわからなかった。

孝一は経理部の人間だった。根拠のない数字を信じることはできなかった。なぜその銘柄を選ぶのか。どんな基準で絞り込んだのか。選定の理由が明確でないものに、自分の退職金を託す気にはなれなかった。

孝一が欲しかったのは、「この銘柄がおすすめです」という結論ではなかった。「なぜこの銘柄を選んだのか」という根拠と、「どういう考え方で絞り込んだのか」というプロセスだった。それがあれば、経理部の人間として、自分で判断ができる。

プロの「なぜ」を知りたかった

調べ続けていくうちに、孝一はある投資助言のサービスに辿り着いた。株歴50年を超える投資家が、四半期ごとに10銘柄を厳選して、選定理由を動画で解説するというものだった。

孝一の目が止まったのは、「なぜこの銘柄を選んだのか」を根拠付きで説明している点だった。単なる銘柄リストではなかった。どの数字を見て、どういう基準で絞り込んで、なぜ今この銘柄なのかを、一つずつ解説している。

経理部で35年間数字を読んできた孝一にとって、「根拠のある選定」は最も信頼できるものだった。感覚ではなく、データと論理で説明されている。自分が会社でやってきたことと、同じ考え方だった。

孝一が辿り着いたのは、ここだった

※株歴50年超のプロが厳選・解説動画付き

※投資助言サービスです。投資にはリスクが伴い、元本の保証はありません。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

内ポケットの付箋を、触った

画面を見ながら、孝一はスーツの内ポケットに手を入れた。妻が貼った「がんばれ」の付箋がまだ入っていた。指先で、その小さな紙の感触を確かめた。

孝一は57歳だった。株式投資の経験はゼロだった。でも、35年間数字を読んできた目がある。プロの選定理由を学びながら、自分でも判断できるようになりたかった。入門書を読むだけでは手に入らなかった「なぜ」を、ここで学べるかもしれないと思った。

妻のために。自分たちの老後のために。何もしないまま定年を迎えるわけにはいかなかった。

もしあなたも、何を買えばいいかわからないなら

50代で株式投資を始めようとしたとき、一番の壁は「何を買えばいいかわからない」ことではないだろうか。入門書を読んで、指標の意味は理解した。証券口座も開いた。でも、何千もの銘柄の前で動けない。

最初の一歩を踏み出すとき、プロの視点を借りることは恥ずかしいことではない。なぜその銘柄を選んだのか、どういう基準で絞り込んだのか。その「なぜ」を学びながら、自分の投資眼を育てていく。それが、50代からの堅実な資産運用の第一歩になる。

最初の一歩を、プロと一緒に

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※過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

帰宅した孝一は、テーブルの上の入門書を本棚に戻した。妻が台所から「今日はどうだった?」と聞いた。いつもの質問だった。孝一は「うん、ちょっと前に進めた気がする」と答えた。妻は「そう」と言って、味噌汁をよそった。

孝一は味噌汁を一口すすって、内ポケットから付箋を取り出した。少しくしゃくしゃになっていた。「がんばれ」の文字を見て、孝一は小さく笑った。

冬の夕方、窓の外はもう暗くなっていた。柏の住宅街に、静かに灯りがともっていた。妻が向かいに座って、一緒に夕飯を食べている。この暮らしを、あと何十年も守っていきたい。そのために、今日、孝一は最初の一歩を踏み出した。