人物:50代男性– tag –
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お金・資産
57歳、天井のシミを妻と二人で見上げた。28年間、この家の傷みを見て見ぬふりをしてきた。
57歳、品質管理課長。工場では0.01mmの誤差も見逃さない。でも自分の家の傷みだけは、見て見ぬふりをしてきた。去年の台風で雨樋がずれた。外壁にヒビが入った。そして今日、天井にシミが出た。妻は「前から言ってたでしょ」とは言わなかった。ただ、二人で天井を見上げていた。 -
暮らし・終活
57歳、12年乗ったミニバンの後部座席に、もう誰も座らない。シートの隙間から、息子の消しゴムが出てきた。
57歳、12年乗った3列シートのミニバン。子供たちが独立して、後部座席に誰も座らなくなった。車検の見積もりは32万円。妻が言った「もう、二人で乗る車にしない?」。最後の掃除で、シートの隙間から息子の消しゴムが出てきた。 -
健康・生き方
59歳、ゴルフ歴20年でスコア110。妻が黙ってクラブを磨いていた理由を、定年前に知った。
59歳、ゴルフ歴20年でスコアは110前後。来年60歳の定年退職後、唯一残る社会との接点はOBゴルフ。でもこのスコアでは居場所がなくなる。ある夜、妻に聞いた。「なんで、クラブ磨いてくれてるの」。妻は振り返らずに言った。「あんたが次も行くからでしょ」 -
仕事・キャリア
52歳、父から引き継いだユンボを手放す日。小物入れの中に、父のログブックがあった。
52歳、27年間乗り続けた父のユンボを手放す日。査定業者を待ちながら小物入れを整理していたら、父の古いダイビングログブックが出てきた。最後のページに父の字で「またいつか二人で」と書いてあった。次のページから先は、全部白紙だった。 -
健康・生き方
54歳、離婚して10年。物置の奥で、元妻が磨いた釣り竿を見つけた夜。
54歳、金曜の夜、10年ぶりに物置の扉を開けた。緑色の竿ケースの中には、離婚した元妻が静かに磨いてくれていた竿があった。27歳の朝霧の那珂川で由美子と出会い、結婚して14年、そして離婚して10年。肩と腰に居座ったものを抱えたまま、那珂川から半年遠ざかっていた俊和は、その夜、一つの決断をした。 -
暮らし・終活
53歳、両親が遺した山沿いの家。3年間、誰も住まないまま、ただ雨戸を閉めていた。
53歳、3年ぶりに実家の鍵を開けた。父が60代で建てた、静岡の山沿いの家。母が縁側で編み物をしていた家。両親を見送ってから、ただ雨戸を閉めて固定資産税を払い続けていた。でも、天井にはシミが広がっていた。放っておけば、この家は朽ちていく。売ることも、放置することもできず、ある夜、真一はスマホで検索した。 -
お金・資産
52歳、亡き父が握りしめていた通帳を思い出す。もっと早く準備しておけばよかった、と呟いた横顔を。
52歳、書斎の整理で父の通帳が出てきた。亡くなる半年前、父は通帳を握りしめて呟いた。「もっと早く、準備しておけばよかったな」。屋根の葺き替えを諦めた父は、次の春に倒れた。自分の通帳を開いて電卓を叩いたとき、俊彦は父と同じ指の動きをしていることに気づいた。 -
健康・生き方
55歳、結婚したことがない。30年前、「3年後に迎えに行く」と言ったまま、連絡を途切れさせた。
55歳、一度も結婚したことがない。24歳のとき、研究室で出会った和子に「3年後に迎えに行く」と言ったのに、仕事に追われて連絡を途切れさせた。あれから30年、ピアノの響板を選び続けてきた。55歳の春、健康診断で胃の影が見つかった夜、誠一はスマホで検索した。 -
暮らし・終活
54歳、車庫の奥にバイクがある。20年間カバーをかけたまま。キックを踏んだら、エンジンはかからなかった。
54歳の雅人は、20歳のときに買ったヤマハのSR400を20年間車庫に眠らせていた。妻の真紀とは、パンクした原付を助けたことがきっかけで出会った。娘の春菜が3歳のとき、タンクの上にまたがらせて写真を撮った。その写真は今も財布の中にある。今年、カバーを外してキックを踏んだ。エンジンはかからなかった。 -
暮らし・終活
59歳、ファインダーを覗いても、端が暗い。39年間撮り続けたカメラを、手放すと決めた。
59歳の義男は、19歳で父からもらったカメラで写真を始めて40年になる。犀川の靄、兼六園の雪吊り、能登の海。家族の写真もたくさん撮った。去年、緑内障でファインダーの端が暗くなった。もう自分の目が信じられない。カメラバッグは半年間、閉じたまま。
